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『横須賀歌麻呂のYARIMAN HUNTERほのぼの撮影日誌』vol.13


2月15日 木曜日 晴れ

撮影13日目。

製作費を使い果たしてしまい絶体絶命の大ピンチに陥ってしまった『YARIMAN HUNTER』。
しかし、もう一度両親に土下座をして、なんとか追加資金を用立ててもらい、どうにかこうにか撮影を再開できることになりました。

ここからクランクアップに向かって
攻めて攻めて攻めまくる
攻めダルマの 舐めダルマ親方だ!!!

しかし、せっかく舐めダルマ親方モードになったにも関わらず、のっぴきならない事情によりこの日の撮影には参加することができませんでした。

出演者の皆様、スタッフの皆様、
ごめんなさい!

という訳で今回は特別に撮影日以外に起こったこぼれ話を番外編としてお贈りさせていただきたいと思います。

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撮影13日目の出演者の皆さん



『横須賀歌麻呂のYARIMAN HUNTERほのぼの撮影日誌/番外編』

2017年の年の瀬も押し迫ったある日、ヤリマンハンター横須賀歌麻呂は都内某所のとある体操教室を訪れていました。

何故、ヤリマンハンターは体操教室を訪れたのか?

事の発端は撮影に入るちょっと前の打ち合わせ後の飲みの席での福田さん(監督)の一言です。

「アクションシーンでバク転やってよ」

iPhoneの充電器貸して、くらいの軽い言い方でした。

簡単に言うな!!!

生まれてこのかたバク転なんてしたことないわ!!!

でもその頃の俺は映画製作という未知の領域に足を踏み入れた高揚感や気負いや不安など様々な想いがごちゃ混ぜになって膨らんだハイな精神状態だったので、バク転くらいちょっと練習すればできると思う、と安請け合いしてしまいました。

当時、アクションの指導をお願いした方のジムにトレーニングに通っていたので、早速バク転のやり方を教えてもらうことにしました。

しかし、教えてもらった通りにやったのですができません。

もう一度試したのですができません。

何度も試したのですができません。

ずしりとのしかかってくる挫折感…

べつにバク転なんかできなくてたっていいわ!べつに池谷幸雄みたいになりたくないわ!べつに池谷幸雄の弟みたいになりたくないわ!べつにモンスターボックスなんて飛べなくたっていいわ!

しかしアクションシーンでバク転をする事はいつのまにか決定事項になっていました。

私は、高卒で低収入で彼女もいない仮性包茎のおっさんにはバク転は不可能だという事を必死で訴えました。

しかしスタッフのみんなは誰も聞く耳を持ってくれません。

私は、なんとかうまいことバク転を回避しつつ、それでいてみんなからは不撓不屈の男だと尊敬され、あわよくばまあまあかわいい女の人とセックスできる方法を考えましたが、何ひとつ思いつきません。

そうこうしているとスタッフのひとりが〈おじさんでもバク転できるようになるバク転教室〉という特別コースを設けている体操教室の噂を聞きつけてきました。

ネットで詳しく調べてみるとメディアでも取り上げられている実績のある体操教室で、しかもレッスン料も意外とリーズナブルです。

これは渡りに船だという事で早速その体操教室を訪れたのでした。

住宅街にひっそりと佇む、体育館の半分くらいの大きさのプレハブ建ての倉庫の中に入ると、隅から隅まで練習用の器具やマットレスに埋め尽くされた本格的な体操の練習場となっていました。

本来はジュニア年代の子供達を対象にした体操教室が主な業務のようなので、練習場にいる練習生は小学生から高校生くらいまでの若年層ばかりでした。

そんな練習生や指導者達に混じって、練習風景を撮影しているテレビ局の取材班らしき撮影クルーがいました。
この体操教室が色んなテレビ番組に取り上げられている事はホームページで紹介されていましたが、日常的に取材を受けているようです。

事前にバク転教室への参加を予約しておいたので指導者らしき人にその旨を伝えると、練習着に着替えて柔軟体操をしておくように言われました。

柔軟体操をしていると取材班の女性ディレクターに「体操教室を取材させてもらっているのですが、画面に映り込んでしまうかもしれないのですが大丈夫ですか?」と聞かれました。
私は、顔出し親バレNGなので、映ってしまった場合は顔と局部にモザイクをかけてもらいたいのですが、そんなことを言って若くてめんこい女性ディレクターに嫌われたくないのでにこやかにOKしました。

その日、初めてバク転教室に参加するのは、社会人チアリーディングチームに所属しているという20代のOLさんと俺の2名でした。

〈おじさんでもバク転できるようになるバク転教室〉というのは宣伝用の売り文句のようで、中年男性専門のバク転教室という訳ではないようです。

まずは担当の指導者の方がバク転についての基礎知識を口頭で説明してくれました。

長くなってしまうので説明は省きますが、バク転というのは人並みの運動神経を持ってる人なら誰でもできるそうです。

そしてその指導者の方は説明の最後にこう言いました。
「教えられたことを忠実に守ってやればバク転はできるようになるので、自己流にアレンジせずに、くれぐれも教えられたことを忠実に守ってやってください。私はこれまでに2万人の方にバク転をさせてきました。私のやり方を信頼してください」

2万人をバク転させた男⁈

あ、あんた、バク転ヤリチンだよ!!!

と、チアリーダーのOLさんは心の中で叫んだことでしょう!

バク転ヤリチン、略してバクチン!

そんなバクチン先生の指導のもとバク転の練習が始まりました。

マットの上で基本的な体の使い方の反復練習を30分ほどやった後、
ワンルームほどの広さのあるトランポリンの上に移動して、
天井から吊るされた補助用のロープを腰に繋いで、
早くもバク転の実践練習をすることになりました。

思っていたより早い展開に戸惑いつつも、バクチン先生に促されるままに、教えられたことを忠実に守って後方に向かってジャンプしました。

すると、なんと、バク転できてしまいました!!!

腰に繋いだ補助用のロープをバクチン先生が引っ張ってくれていたとはいうものの

バク転できました!!!

さすがは2万人をバク転させた男、バクチン先生!

そこからは跳ぶ高さや角度などを修正しながら、補助用のロープなしでバク転できるようになるまで反復練習を繰り返していきます。

だんだんコツが掴めてきました。

トランポリンは他の練習生達と交代で使っているため順番を待ちながら小休止していると、先程の若くてめんこい女性ディレクター(長野美郷ちゃん風)がやって来てちょっとインタビューに協力してほしいとお願いされました。

私は、顔出し親バレNGなので、インタビューに答えることなどは極力避けたかったのですが、インタビューに協力すればもしかしたら若くてめんこい女性ディレクター(お嫁さんにしたいナンバーワン風)といやらしいことができるかもしれない、でも断ったらせっかくいやらしいことができるチャンスを潰してしまうかもしれない、そう思ったのでインタビューに協力することにしました。

「普段は何をなされてるんですか?」

俺は淫乱女専門の処刑執行人ヤリマンハンター。
しかし、ヤリマンハンターには自分がヤリマンハンターであることをたとえ親兄弟であろうとも明かしてはいけない鉄の掟(カチカチちんぽの掟)がある。
ましてや相手はマスコミの人間、絶対に正体を悟られる訳にはいかない。

「あの、じつは売れないお笑い芸人をやってるんですよ」

ヤリマンハンターの匂いを完全に消してそう答えた。

「どうしてバク転を習いに来たんですか?」

あれ?芸名とか聞いてくれないの?まあ色々根掘り葉掘り聞かれても面倒臭いけどさぁ。

「今、自主映画を撮ってるんですけど、アクションシーンでバク転をしなきゃならなくなったので習いに来ました」

ヤリマンハンターは超人的な身体能力の持ち主でバク転もできるってことにされちゃったんです。

「バク転教室に参加してみてどうですか?」

どんな映画か聞いてくんないの?べつに特ダネがほしいならヤリマンハンターであることを話してやってもいいんだけどなぁ。いいんだけどなぁ。

「本当にバク転できるようになるのか半信半疑だったんですけど、ロープ付きの状態ですけどいきなりできちゃってビックリしました」

ビックリ クリクリ クリトリス!

「バク転できるようになれそうですか?」

イエス!エロスクリニック!

「はい!たぶんもう何回か通えばできるようになると思います」

若くてめんこい女性ディレクター(可愛い顔して意外とマン毛が濃そう)に好かれたくて模範的な回答をするヤリマンハンター。

「ご協力ありがとうございました」

他にもいくつか質問されましたが要約するとだいたいこんなかんじのインタビューでした。

インタビューが終わると若くてめんこい女性ディレクター(はみ出しマン毛純情派)はそそくさと次のインタビューへと行ってしまいました。

いやらしいことができるかもしれないと思った俺がバカでした。

男とは本当に愚かで悲しい生き物です。

気を取り直してまた反復練習を続けました。

しばらく反復練習を続けていると、また若くてめんこい女性ディレクター(帰ってきたはみ出しマン毛純情派)がやって来ました。

さっきのお礼に、ほっかほかパンティでもくれるのかな⁈

「あの、すみません、もう一度、今日来た理由を聞かせてもらってもいいですか?」

えっ?ちゃんと撮れてなかったの?

「えっと、今、自主映画を撮っていて、アクションシーンでバク転をしなきゃいけないので、それでバク転を習いに来ました」

映画のこともっと詳しく聞きたいのかな?

「あの、すみません、今言ったことをもっとコンパクトに行ってもらえますか?」

え?コンパクトに?

「映画でバク転のシーンがあるので習いに来ました」

これでいいの?

「もっとコンパクトに」

え?もっと?

「バク転やらなきゃならないので習いに来ました」

こういうこと?

「それを言い方を変えてお願いできますか?」

えっ⁈ 何⁈ どういうこと⁈

あっ! あぁ … そういうことか …

「バク転できるようになりたくて習いに来ました」

こういうことですよね …。

「ありがとうございます!」

そう言ってマン毛ぼうぼうディレクターは満面の笑みで頭を下げると意気揚々と引き上げて行きました。

最初から嫌な予感はしていました。

ほどなくして体操教室の終了時間となりました。

俺はやりきれない気分で帰路につき、帰宅すると逃げるようにベッドに潜り込み、何も考えなくてすむ眠りの世界へと沈んでいきました。

翌日は昼過ぎに目が覚めました。

まずはいつものようにスマホをチェックすると、珍しく地元の友達からのLINEメッセージが届いていました。

『おまえ、バク転習ってんの?』

もう放送されたのかよ!!!

昨日の今日じゃねぇか!!!

すぐやってんじゃねぇよ!!!

淫乱か!!!

お笑い番組には何年待ってもビタ一文出演させてくれなかったくせしやがって!!!

友達によると全国放送の朝の情報番組で『おじさん達の間で秘かなバク転ブーム』という特集があり、俺がバク転教室に参加した様子がまるで密着取材をしたかのように放送されていたそうです。

悪い予感はこれでもかというほど見事に的中してしまいました。

思えばカメラは遠巻きから俺の方ばかり狙っているような気がしていました。

放送では、俺はバク転を習いに来た40代の普通のおっさんになっていたそうです。

普通のおっさんじゃないぞ!!!

ヤリマンハンターだぞ!!!

すごいんだぞ!!!

すごいエロいんだぞ!!!

「芸人」や「映画」や「アクションシーン」は見事にカットされていたそうです。

番組が求めていたのは「バク転を習いに来た芸人」ではなく「バク転を習いに来た普通のおっさん」だったのです。

ふざけんな!!!

テレビ業界はどんだけ俺をもてあそぶんだよ!!!

普通のおっさんとしてなら需要があるって、
俺の芸歴20年は何だったんだよ!!!

下ネタで笑わないブスと戦ってきた20年は何だったんだよ!!!

バカ!!!

俺がバク転教室を予約した時から全ては決まっていたんです。

ロックオンされていたんです。

飛んで火に入るバク転を習いに来たおっさんとは俺のことです。

たとえ俺がヤリマンハンターの事を話していたとしても、すべてカットされ、都合のいいように編集され、普通のおっさんとして放送されていたことでしょう。

恐ろしい情報操作です。

皆さん、今さら言うまでもないと思いますが、テレビの情報を鵜呑みにするのはやめましょう。

「CMの後もまだまだ続くよ」のあとはすぐに終わるんです。

まさかこんなかたちで全国放送デビューを果たすことことになるとは夢にも思いませんでした。

人生とはままならないものです。

ところでヤリマンハンターはバク転できるようになったのか?

その答えは劇場でお確かめください♪
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